top of page
予防接種
sign.png
予防接種改訂

ワクチンの種類

種類

それぞれのワクチンについての当クリニックの考え接種方針については、下に述べておりますので、ぜひそちらもお読みいただき、判断の材料にしていただきたいと思います。

ワクチン接種のスケジュール

🔻表をクリックして、ダウンロードしてください

ワクチンデビューと言われる満2生月からの乳児早期と1歳の誕生日の後には接種スケジュールが立て込んでいます。日本小児科学会が推奨する接種スケジュールを見ても、複数のワクチンを同時接種する事を前提としています。
 
 同時接種はいくつ一緒でもワクチン学的には問題なしとされてはいます。抗体産生という意味ではおそらくそうでしょう。副反応がよりひどくなるのではないかと心配される方もおられるかと思いますが、副反応は相乗的なものではなく、それぞれのワクチンの副反応の足し算ではあろうかと考えています。
 
 もしスケジュールをコンパクトにまとめたい、たびたび来院が困難、何度も泣かせるのはかわいそう、などの理由で同時接種を希望されるならばご希望に添いたいと思います。これほどワクチンが増えると同時接種もやむなしとも思います。

 

​ 特に来院回数が増えても1つずつ接種していくことを希望される方の場合、ご希望に添うように工夫しますが、接種時機を失しないようにするのも大事です。今まで以上に基礎免疫ができるまでのスケジュールを早めに決める必要があります。早めにご相談下さい。

ワクチンスケジュール.png
接種スケジュール

任意接種の料金(2025年1月現在)

(10%税込料金)

ロタリックス      14,000円

ロタテック       9,500円

小児肺炎球菌 プレベナー20 11,550円

4種混合 DTaP+IPV  10,500円 

2種混合 DT 2期         4,400円

B型肝炎  0,25ml          5,300円

B型肝炎  0,5ml            5,300円                         

B C G                           7,700円         

麻しん風しん MR            8,800円

麻しん                         5,700円

風しん                           5,800円 

水ぼうそう                   7,500円        

おたふくかぜ                6,000円

日本脳炎Ⅰ期                6,750円

日本脳炎Ⅱ期                  6,750円      

A型肝炎                       7,900円

破傷風トキソイド        3,700円

狂犬病             14,800円


*上記以外のワクチンについては、個別にお問い合わせ下さい。

各予防接種の予診票

接種においでになる前に、下記のご希望の予診票をクリックしてダウンロードし、必要事項をご記入の上、ご来院ください。 <注意>接種時に保護者以外の方(祖父母など)が連れてこられる場合、保護者からの委任状が必要になります。下記をクリックして必要事項をご記入の上、予診票とといっしょに窓口にご提出ください。

予防接種について考えること 2025 改訂版

▪️ワクチンギャップ

 最近、「ワクチンギャップ」の解消が叫ばれ、ここ数年の間に欧米「先進諸国」のスケジュールにもう一歩で並ぼうかという勢いになってきました。

2016年4月にはB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。

ロタウイルスワクチンも2020年10月に定期接種化されることが決まりました。

その他、それぞれのワクチンも変化、進化してきております。今後も新たなワクチンの登場も予定されているようで、目が離せません。

▪️VPD

 お子さんのワクチンのことでいろいろ調べておられる方は、最近VPDという言葉によく出会われることと思います。Vaccine Preventable Disease (ワクチンで予防できる病気)の頭文字で、VPDはワクチンで予防しようよという主旨で活動している方々が会を立ち上げておられます。


  そもそも病気にはかからない方がいい、予防に限る。そういえばそうですよね。予防接種があるならしておいた方がいい、そう考えるのは当然かもしれません。とりわけVPDにかかって重症化してしまった方にとっては、ワクチンをしておけばよかったという後悔の念が強かろうと思いますし、私たち医師にとっても、多少なりとも過去に苦い経験を持たないものはいないと思います。

 

▪️ワクチンの副反応

 でも、素直にそうとだけ言い切れないものを感じている方もおられます。予防接種が確実に安全で有効なものならそうでしょうけど、残念ながら過去の歴史を紐解くと、少なからずワクチンの副反応(多くの場合公的には「有害事象」とされ、因果関係が認められたものだけが「副反応」とされる)で亡くなられたり、長く永続的に苦しんだりしている人がいるのも確かです。


  近年鳴り物入りで定期接種に導入されたヒトパピローマウイルスワクチンも、公式には否定的に語られますが、私はやはりその副反応が問題になっていると考え、ワクチンが変更されない限り再開する気持ちになれません。


  更に、私見では、インフルエンザワクチンのように理論的にも現実的にもほぼ効果のないもの、ポリオ、日本脳炎ワクチンのように少なくとも現在の日本ではほぼ役目を終えたもの、現在の日本の衛生環境状態からは重症化は心配しなくてもよかろうと思われるものもあると考えています。

 

▪️ワクチンの「負の面」

 私は医師になりたての頃から、そんなワクチンの「負の面」を見る機会が比較的多かったのかもしれません。インフルエンザワクチン、MMR(はしか、おたふくかぜ、風疹)ワクチンなどで副反応がおこり、命をなくしたり、ひどい障害を受けられ、しかもそれが副反応であると認めさせるために、被害を受けた方がいわば自らそれを証明しなければならないご苦労を見てお手伝いした経験がありました。とりわけ、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン(当時)は益より害の方が大きいと考え、まだ勤務医をしていた頃から、当時同僚だった先生方や全国各地の方々と共に接種中止を求めて運動し、一旦は事実上中止になった時期もありました。

 

▪️ワクチンの評価

 いわゆるVPDでひどい病気になった方、ワクチンの副反応でひどい障碍を負われた方、双方にとってワクチンの評価は正反対かもしれません。その両面を見ている私たち医療者の役割はどうあるべきか?それぞれの疾患の現状、ワクチンについての正しい評価(それは現在私たちをとりまく環境での有効性、安全性、有用性の判断に基づくものでなければなりません。)を広く皆様にお伝えすることではないかと思っています。 とはいえ、人それぞれ価値観は違います。健康観、疾病観、何が正しくて何が間違いか、答えは一つではなさそうです。
 

 

▪️接種の判断

 当クリニックでは、罹患して重症化が懸念されるかどうか、ワクチンの有効性、副反応リスクを考え、私の考えをお示ししますが、皆様のご判断は尊重します。但し、小児科では判断の主は、接種を受ける本人ではなく保護者である事を忘れないでください。お子様が自分で判断できる年になったらその判断をお伝え下さい。

接種料金
予診票
考えること
それぞれのワクチン
ロタウイルスワクチン
B型肝炎
肺炎球菌
五種混合
BCG

それぞれのワクチンについて

​​▪️ロタウイルスワクチン

1価のワクチン「ロタリックス」と5価のワクチン「ロタテック」の2種類があります。「価」というのは、ワクチンに含まれるウイルス抗原の種類の数のことです。つまり、5価のワクチンには5種類の抗原に対して免疫を作ることができるということです。となると、多くの抗原に対して対応したロタテックの方がよさそうですが、実臨床ではほとんど免疫効果に差がないとも言われております。

 

 ロタリックスは2回接種、ロタテックは3回接種。効果にあまり差がないのはすでに実感できておりますので、当クリニックでは特にご希望があったり、途中まで他施設でロタテックをして来られた方以外は、2回接種のロタリックスを接種しております。

 

▪️B型肝炎ワクチン

 嘗ては日本では人口の約2%、B型肝炎ウイルスのキャリアーがいましたが、主な感染経路の母子感染、輸血等に伴う血液感染に対する対策をとってきた為、キャリアーは現在では約0.5%程度に減少しております。

しかし、母子感染だけでなく、血液、体液を介する感染(水平感染)も未だ無視できないとも言われております。数多くはありませんが、保育園などでの乳幼児の感染の報告もあり、もしキャリアーになってしまえば、本人にとっては先々、肝炎、肝硬変、肝がんの心配がありますし、パートナーへの感染も問題になります。

 2016年10月から定期接種となりました。対象は1歳未満です。対象にならなかった未接種の方々は、成人も含めて、ぜひやっておいたほうがいいワクチンであると考えています。

 

▪️肺炎球菌(PCV)ワクチン

​​

 肺炎球菌は、乳幼児の感染症の中で主要な病原体の一つであり、中耳炎、肺炎、菌血症・敗血症、 細菌性髄膜炎など、多彩な感染症の原因で、ときに後遺症を残す疾患を引き起こすことがあります。

 小児に対する肺炎球菌ワクチンに関しては、2013年11月から定期接種ワクチンとして、PCV13「プレベナー13」 が採用され10年以上にわたり使用され、重症感染症の減少が明らかでした。しかし、ワクチンに含まれない抗原型の感染が相対的に増えることになり、2023 年に、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンPCV15「バクニュバンス」が国内で製造販売承認され、2024年4月から 定期接種で使用されました。

 更にまた、2024年3月には、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンPCV20「プレベナー20」が国内で製造販売承認され、2024年10月から、PCV13 に代わり定期接種で使用可能となりました。接種経路も皮下注射から筋肉内注射も可能になりました。大きく変化してきたワクチンですが、近い将来、PCV23が登場する予定のようです。

予防できる抗原型が増えるのはPCVについてはいいことだろうと考えております。

 

 

▪️種混合(DTaP+IPV+HIV)ワクチン

 このワクチンも、長い間三種混合(ジフテリアD、破傷風T、百日咳P)であったものが、2014年、生ワクチンから変わった不活化ポリオワクチンIPVが加わり、四種混合(DTP+IPV)になりました。更に2024年4月、ヒブワクチンも加わった五種混合(DTP+IPV+Hib)になりました。

 

 多くの抗原を混ぜて接種することについて、P C Vと共に心配される方もおられますが、今までのところ特に問題は起こっていないように思われます。

 接種経路についても、以上二つのワクチンについては、従来皮下注射で接種していましたが、筋肉内注射も選択できるようになりました。


 この二つのような、生ワクチンでない不活化ワクチンは、国際的には筋肉内注射が行われていますが、今後そのように変わっていくのだろうかと思われます。


 一般的には筋肉内注射の方が副反応の出現は少ないと言われておりますが、乳児では接種部位も大腿部くらいに限られますので、せいぜい1回に2種類まで、当面は5種混合と肺炎球菌の2つを大腿部に筋注するようになると思います。
 最終的には親御さんのご希望に沿うことにします。

▪️ポリオワクチン

​​

 世界では特に低開発国と言われる国々で、未だポリオの流行が報道されており、インバウンドの恐れも言われております。未接種の方がおられるならば、接種を考えてみられることをお勧めします。

▪️BCGワクチン

​​

 日本もやっと低蔓延国の中に入ったとのことですが、高齢者を中心に、再発、新たな感染者が無視できない数です。乳幼児も含め、感染者に遭遇する機会はまだあります。接種をお勧めしたいワクチンです。

 

 

▪️麻しん風しんワクチン

  1才で第1期、小学校入学前の年度(年長児)で第2期のワクチンを接種します。
 予防接種が普及して、麻しんも風しんも最近では滅多にみない病気になり、若い医師の中には患者さんを診た事も無い方もおられるようです。現在はこどもの間では流行はほぼなくなりましたが、感染力が強く、若年成人の間で外国からの持ち込みで小流行の報告が見られており、まだ油断ならない状況といわれております。


 風しんの場合、妊娠早期の女性が罹患すると、胎児の先天性風しん症候群の発生も、数は多くはありませんが、まだ途絶えません。ワクチンは有効であり、安全性も高いワクチンであるだけに、接種の必要なワクチンです。 


 現在は2回定期接種世代の子供さんの中での流行はほとんどありません。しかし、世界では近隣諸国も含め、まだ流行の報告があり、上記のように海外からの持ち込みが増加する懸念もあります。

 そのような中で、 最近の気になる情報です。1歳からのはしか・風しんワクチン第1期の接種率が80%台に落ちてきているとのことです。新型コロナ感染症流行の影響なのでしょうか、はっきりわかりませんが、とても大事なワクチンですので、1歳になったらなるべく早く接種を計画して下さい。一時期、ワクチンの供給不足が問題でしたが、今はほぼ解消しています。


 また、別の対策として、予防接種世代ではなかった30〜50台の男性で免疫が不十分な方々にワクチン接種をする取り組みがなされています。お父さん世代の方々、是非ご自分の接種歴の確認をして下さい。麻しん風しんは是非とも予防しておきたい病気であることを確認していただきたいと思っております。

 

▪️水ぼうそうワクチン

  健康な方にとっては必ずしも重症な病気ともいえず、治療薬もある事から、当初は接種を積極的にお勧めする気持にはなかなかなりませんでしたが、2014年から定期接種となりました。


 自然にかかってもいいのではないかと考えるむきもありますが、今後ワクチンが普及すれば、最近のはしか、風疹のように、めったにみることがなくなり、感染する機会もなくなる事が考えられます。その為、ワクチンをしなくても大人になるまでかからない人が出てくると思われます。


 ワクチン効果はイマイチで、2回接種が求められている所以ですが、比較的安全なものであり、今では接種をお勧めしております。何故ならば、 成人になってかかると、比較的重症化しやすいという事と、万一、何らかの免疫不全状態になる病気になったりすると、水ぼうそうは命取りの病気になってしまう可能性もあります。そうなってからでは接種することはできません。ワクチン未接種で罹患すると、そのような免疫学的弱者にうつしてしまう恐れがあることも考えなくてはならないと思います。


 1回接種でも重症化を防ぐ事は期待できると考えますので、定期接種となった今は、接種を受ける意義はあると考えます。定期接種の年令を過ぎた方も任意接種を考えたほうがいいと思います。

▪️おたふくかぜワクチン

 水ぼうそう同様、一見あまり重症な病気のイメージではありませんが、ワクチン副反応で問題となった髄膜炎を起こしたり、無視できない頻度で難聴になることがわかって、接種の必要性が強く言われるようになっております。

 世界的にはMMRワクチンとして、はしか風しん(MR)ワクチンと混合ワクチンとして接種されているワクチンです。日本でも1989年、定期接種としてMMRワクチンが導入されたのですが、採用したワクチン株の問題で副反応の髄膜炎等が多発した事が問題となり、1993年、わずか数年で定期接種からはずされました。

 

 最近のトピックスとして、再度MMRワクチンとして定期接種に戻すために、臨床試験が始まっています。一旦外されたものの復活はなかなか困難のようで、まだ具体的にいつになるかは不明ですが、そう遠くない将来、再度定期接種MMRワクチンとして復活できることを待望しております。

 また、下記紹介していますが、古賀市民の方には1歳から年長さんまでは1回だけ3,000円の補助金が出ます。実質半額程度で接種できます。

 

◆2020年2月、古賀市行政担当者と医師会の懇談会が開催された折に、おたふくかぜワクチン接種に補助金を出してほしいと田辺市長に「直訴」致しましたところ、詳しく事情をお聞きいただき、検討を約束いただいておりました。

 

 当時近隣では、宗像市、粕屋町が補助を実施しており、できれば同じ程度の補助を考えていただきたいと申しておりました。 皆様御存知の通り、田辺市長は「チルドレンファースト」を市政の一つの大きな柱に据えて、様々な施策を打ち出しておられます。懇談会以降しばらくはこの件に関しては何のコメントもなかったので心配しておりましたところ、先行した宗像市、粕屋町よりも更に一歩進んだ内容、私もそこまでは提案できなかった内容で発表されました。

 即ち、2021年4月から、古賀市内の指定医療機関でワクチン接種すると、1歳から年長まで全年齢に対し、1回は3000円の補助をするという内容でした。すでに補助金無しで1回済ませておられる方も、年長さんになったらもう一度接種できます。 さすが小学生までは無理でしたが、ここまで対象を広げていただけると、うまくすれば今まで何年かごとにみられていた少流行が一気に起こりにくくなることが期待できると思います。

 接種費用全額ではないですが、約半額で接種できます。ぜひ多くのお子様に接種の機会を!! 田辺市長のご英断に感謝致しております。

 古賀市の補助実施以降、近隣では久山、篠栗、志免の各町も補助を始め、特に志免町は2回分ともに補助してくれる様です。補助金の出ない近隣の自治体でも補助金が出るように皆様からも要望を出してみられたらいかがでしょうか。

麻しん風しん
水ぼうそう
ポリオ
おたふくかぜ
日本脳炎

▪️日本脳炎ワクチン

 一応定期接種ですので、希望者には接種をしていますが、私は日本では役目を終えた、しなくてもよくなったワクチンと判断しています。以下、そのご説明をします。
 
 日本脳炎はウイルス感染症ですが、人から人への感染はありません。蚊に刺されたブタがウイルスを多量に増幅し、そのブタから蚊が吸血、そして人へという感染経路しかありません。毎年各都道府県で実施されているブタの抗体保有状況をみると日本脳炎ウイルスは西日本を中心に広い地域で確認されています。
 
 このようにウイルスは身近にいるとは思われますが、現在の発生状況を見ると、おそらくは、感染しても重症化する事はごくまれで、「夏かぜ」程度の症状で落ち着いているのだろうと考えています。
 
 名前からして日本では絶対必要そうに聞こえるワクチンですが、国立感染症研究所のデータによれば、日本脳炎発生状況は1992年以降急に減少し、日本中で年間一桁、それも高齢者中心です。
 
 以下、▼1997年から2019年の日本脳炎患者報告数です。(10歳未満は再掲)
 欄外にその時々のトピックスとワクチンん接種後の有害事象(副反応)を記載しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本脳炎のワクチンは、副作用とみられる重い神経障害が報告され、2005年から事実上中止されていましたが、2009年、新たなワクチンに切り替えられ、勧奨接種が再開されました。しかしその間多発するようになったわけでもありません。   

 

 標準的ワクチン接種年齢より下の年齢層ではどうかというと、1990年以後しばらく報告がなく、2006年に熊本県で3才児、2009年に高知県で1才児、2011年に沖縄県で1才児、そして2015年に千葉県で生後11ヶ月児、計4名の発症者の報告があっています。   

 

 2015年の乳児発症報告がきっかけとなり、日本小児科学会、予防接種・感染症対策委員会は、「日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について」という声明を出しました。

 

  「日本脳炎流行地域*に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域**に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨されます。」 と書かれており、福岡県も患者の発生はほぼないが、豚のウイルス抗体保有率が高い地区ということで、乳児期からのワクチン接種を勧められる施設が増えているようです。   

 

 最近、マスコミでも報道されるようになり、ひょっとしたら全国的に早くからワクチンしようということにもなりかねない勢いです。   

 

 果たして、早くワクチン接種した方がいいのかどうか?  ワクチンの安全性が全く問題ないなら、わずかではあれ低年齢の発症者が出ているのですから、きっと早いがいいに決まってます。しかし、・・・   

 

 一方、表立って話されることがありませんが、副反応が少ないだろうと期待されて登場した新しいワクチンに変わった後も、患者発生数より重篤な副反応発生数が上回っているのも事実です。   

 

 新ワクチンに変わってからのまとまった報告を見つけることができませんでしたが、国立感染症研究所が公表している2013年4月から2016年2月まで、2年11月の間に、重篤な副反応の可能性のあると思われる、脳炎21、脳症5、急性散在性脳脊髄炎21、アナフィラキシーショック27、ギランバレー症候群2、主だったものだけでもこれだけ。もちろんこの中にはたまたまの混じりこみもあるのかもしれません。   

 

 この中には入っていませんが、2012年には2名の接種後の死亡報告があります。そのうち1例は、接種5分後に意識不明、心肺停止、その後死亡しているとの報告です。基礎疾患のあったお子様のようですが、ワクチン接種は無関係とはとても言い難いと思います。その後も 2013年、 2016年、 2018年にも1名づつ死亡例の報告があっています。全部がワクチン接種との因果関係を認められてはいませんが、計5名がワクチン接種後に死亡しているのは事実です。   

 

 早くからワクチン接種するということにはこのような有害事象リスクも低年齢化することも考えておかねばならないと思います。現在のところ3歳未満児のワクチン後有害事象の報告が見つかりません。もし3歳以上の有害事象発生率と比べて、有意に少ないとしたら?・・・そこらのデータが欲しいところです。    

 

 しかしながら、この間に発生した3歳未満の子供の日本脳炎は、後遺症を残した気の毒な症例ではありますが、たった一人なのです。 2018年は、日本ではおそらく初めて、年間の報告患者数がゼロでした。史上初の出来事にも関わらず、官公庁からは何のコメントもなく、発生動向を注目しております私は実に不思議に思っております。  

 

 罹患する可能性も極めて低い、接種の副反応も接種総数に比べれば、さほど高いとは言えないとは思います。どちらのリスクを背負うのか、これは情報をよく収集した上で、皆様が判断して決めるべきことだろうと思います。

 

  冒頭述べましたような考えではありますが、ずっと前から6ヶ月から開始して良いことになっていますので、日本脳炎にかかることが心配の方には3歳前でも接種することも考えてはおります。熟慮の上、ご判断ください。

二種混合
インフルエンザ
フルミストスクリーンショット.png

 しかし、新しいものには若干の不安もあり、やはり従来の不活化ワクチンで接種希望される方もおられますし、不活化ワクチンも用意致しております。  

 

 どちらのワクチンを接種したいか、決めたらご予約ください。但し、生ワクチンは供給量が少ないらしいので、ご希望の方はなるべく早くご予約ください。

▪️二種混合(DT)ワクチン

 乳幼児期に三種、四種、五種混合ワクチンを接種して来られた方や百日咳に罹ったことのある方への主に第2期のワクチン(11歳、12歳で接種)です。長期間に亘る免疫保持のために必要です。

▪️種混合(DT)ワクチン

 嘗ては乳児期に最初に受けるワクチンでしたが、現在では五種混合に変わりました。ただ、D T Pがまだ残っているのは、現在11歳、12歳に定期接種で行っている二種混合ワクチン(DT)に変えて接種してもよいワクチンという位置付けになっております。

百日咳(P)が10歳代から成人層まで、症状はひどくないが潜航性に広がり、それが未接種の乳幼児に感染し重症化することが問題視されており、その対策として考えられている訳です。確かに一考に値するかとは思いますが、これは任意接種扱いですので、有料となっております。

 

▪️インフルエンザ生ワクチン・不活化ワクチン

 今シーズンも既にインフルエンザA型が各地で流行しており、既に地域の学校で学級閉鎖になったところも続出しております。今後の大方の予想としては、1〜2月をピークに流行が拡大するだろうとのことです。
 従来の不活化ワクチンの感染予防効果はあまり期待できないと思っていますが、接種後流血中に「IgG抗体」を産生する事から、強いて言えば肺炎などの重症化防止にはなるかと考えています。とはいえ、毎年大きな流行を繰り返しており、接種希望者が多いのも無理はないかなと考え、あまり期待できないと言いながら、今年も接種を致しております。 

 

 今シーズンの大きな変化は鼻腔粘膜に噴霧する「生ワクチン」が登場しました。「フルミスト点鼻液」と言います。外国製で輸入品であるワクチンで、ワクチン株も世界中同一で、日本の不活化ワクチンとは一部違っております。

経鼻接種生ワクチンは、ウイルスが侵入してくる鼻腔粘膜で「分泌型IgA抗体」を作りますので、不活化ワクチンでは期待できない『発症予防効果』が期待できるかなと思っております。​ 

接種対象が2歳以上19歳未満となっており、成人には接種できません。12歳までのお子様は2回注射していたものが1回だけ鼻にシュッとするだけになりますので、注射嫌いのお子様にはそういう意味でも向いているのかとは思います。​  

三種混合

▪️新型コロナウイルスワクチン 

 

 2024年4月のお知らせに書きましたように、当クリニックでは接種しないことと致しております。 少なくとも、余程の基礎疾患のある方以外にとっては、敢えてしておいた方がいいワクチンには思えないのです。ご了承お願い申し上げます。

新型コロナ
ヒトパピロー
▪️ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
 

 子宮頸がん予防ワクチン」という呼び方もされますが、ワクチン接種が始まって、長期間接種者を観察し続けた報告はどこにもありませんので、厳密な意味で予防できるのかどうかは不明というのが正しかろうともいわれています。


 発がん性ヒトパピローマウイルスと呼ばれるものに感染しても90%以上は体内から自然消失するため、子宮頸がんに進展するのはごくわずかです。しかし、そのまれにおこる持続感染によって子宮頸がんを発症する事は事実です。日本でも毎年約15000人程が子宮頸がんと診断されています。HPV16型と18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20~30代の女性の約70~80%から見つかっています。そのウイルスのワクチンだから子宮頸がんの多くを予防できるだろうと考えられているのです。

 

 日本では2009年にサーバリックス(GSK)が承認され、接種が始まりました。当クリニックでも2010年8月に接種を開始しておりました。その効果に期待を持っておりました。当初は任意接種で少数でしたが、2011年頃から公費負担されるようになり、接種者も徐々に増えておりました。

 しかし、接種後に副反応を疑わせる多彩な症状の訴えが問題となり、2012年4月に接種を積極勧奨されましたが、そのわずか2ヶ月後に積極勧奨取り止めとなり、その時点で、当クリニックでは接種を中止しました。

その後も定期接種扱いのままでしたが、接種者は激減し、10年以上が過ぎました。その間、ワクチン接種を広めたい国、学会、製薬企業からは欧米諸外国との接種率の違い、子宮頸がん発生率の違い、安全性に問題ないとの主張が繰り返され、2022年4月より9年ぶりに再度積極勧奨されるようになりました。また、新しく9種類のウイルス株を持った新たなワクチンが使用されるようになりました。
 

 ところが、厚労省研究班の調査によるとHPVワクチン接種後に生じた症状の治療のために国が特別に指定した全国約90箇所の「協力医療機関」を訪れた新規受診患者数は、2022年度は137人に上っていました。
ここを受診する患者というのは、接種直後の腕の痛みや短時間の失神などでではなく、近所の医療機関ではとても治せない複雑な症状を抱えた患者さんばかりだと考えられます。そうでなければわざわざ遠くの大学病院等を受診する必要はないはずだからです。


 実は、厚労省の調査では接種勧奨が再開される前の「協力医療機関」はほとんど開店休業状態で、受診患者数は全国あわせて2019年度は7人、2020年度は14人に過ぎませんでした。それが接種勧奨再開で約10倍に増えているのです。また、ワクチン接種後体調不良になり、「協力医療機関」に受診を希望したにもかかわらず、ワクチン接種とは関係ないと言われ、紹介状すら書いてもらえなかった方もいらっしゃるという話も複数聞きます。
 

 接種者が増えればそれだけいわゆる「有害事象」が増えるのは当然という見方はあると思いますが、受診者がどのような訴えで受診され、どのような診断内容であったのかについては公表されるべきではないでしょうか。でないと安心してワクチン接種を勧める気にはなれません。
 
 一方で、毎年1万人の子宮頸がん患者が発生し、3千人の死亡があることも統計的事実です。ワクチンを推進する立場からは、限定的だが特に若年世代の子宮頸がんの発生を減らす可能性があると言われますが、これについても賛否議論されています。否定する議論も私には何でも反対する、為にする「言いがかり」的なものには見えないのです。
もう少しはっきり見えるようになるまでは、当クリニックでは接種を控えようと思っております。
 
皆様のご意見も伺わせていただきたいと思っております。

 

(2025年1月)

bottom of page